小さな再会が、こんなにも胸を打つのはなぜだろう。
韓国ドラマ『純喫茶イニョン』は、偶然のように訪れる再会と、静かにほどけていく過去の感情を描いた短編連作のような物語です。
物語の舞台は、どこか懐かしく、時間の流れがゆったりと漂う純喫茶。その空間の中心に立つのが、2PMのチャンソン演じるシウ。彼は過去に囚われたまま生きる人々の心に、そっと“温度”を与える存在です。
わずか4話ながら、視聴者の心に深く残った理由。それは、音楽でもセリフでもなく、“空間”の力だったのかもしれません。
そしてその空間は、実在する喫茶店「木旺舎(もくようしゃ)本店」という、千葉県木更津市の静かな町角にありました。
「純喫茶イニョン」の舞台:木更津・木旺舎本店とは
JR木更津駅の東口から歩いて5分ほど。
人通りの少ない商店街の一角に、古びた木造建築の喫茶店が佇んでいます。それが『純喫茶イニョン』の主要ロケ地となった「木旺舎(もくようしゃ)本店」です。
ログハウス風の重厚な外観、赤い手すりのついた外階段、そして天井が高く光が差し込む店内。どこを切り取っても、まるでドラマの1シーンのような佇まいに、訪れる人は皆、シャッターを切らずにはいられません。
店内にはアンティーク調の調度品や、使い込まれたネルドリップ器具が並び、実際にドラマ撮影で使われたカウンター席もそのまま残されています。撮影当日は、お店を貸し切りにして、数日間にわたって収録が行われたとのこと。
店主の方も、「シウが本当にここにいたみたい」と微笑みながら話してくださったのが印象的でした。
#純喫茶イニョン のロケ地巡りして来ました💜
お店の方のお話ではチャンソンはとても気さくで良い方だったと😊
まるでシウがそこにいるような、素敵な縁を感じられる楽しい時間を過ごせました✨
クレープ美味しいですよ
主題歌と共にまたドラマを見たくなりました#チャンソン #これからの君のために pic.twitter.com/kJpOBDTlLE— みおん💜Chan (@mionrin211) September 22, 2024
【聖地巡礼】ドラマの名シーンに出会えるロケ地3選
① 赤い階段と2階席|再会の象徴
高校時代、毎日来てました。木旺舎。サラスパとかあるのかにゃ?バロック🎵音楽 pic.twitter.com/kREcQa6dVE
— ぴゃぴゃもねら (@pyapyakaeru) January 3, 2016
「また、ここで会えるなんて思わなかった」──
そんなセリフが自然と口をついて出るような、印象的なロケーションが、この赤い階段です。
外階段を上った先にある2階席は、ドラマの中で登場人物たちが心を解いていく場所でもありました。
木旺舎の階段は、ただの導線ではありません。どこか記憶の奥底をくすぐるような、懐かしい風景です。
その階段を一歩一歩のぼるたびに、視聴者として感じた“あの時の感情”が、ふっと蘇ってくるのです。
② カウンター席とコーヒー道具|シウの時間
シウが静かにコーヒーを淹れる、その所作ひとつひとつに、彼の過去と優しさが滲んでいました。
木旺舎本店のカウンター席には、あの時のシウの姿が、今もそこに在るような気配があります。
実際にネルドリップを用いて提供されるコーヒーは、まるでドラマのワンシーンを味わっているような特別な時間を演出してくれます。
「ただ静かに過ごす」という贅沢を、あのカウンターで体験してみてください。
③ みまち通り商店街|偶然と運命の交差点
木更津、みまち通り
2006.6→2025.6木更津キャッツアイで一躍有名になった商店街も、今は大部分が消滅。
左側の神社に面した土地は調べると神社の社有地であり、おそらくは各地で見られた戦後の残滓なのかもしれない。2025年6月(本日)撮影・千葉県木更津市 pic.twitter.com/iz7Nq0bCe9
— 昭和レトロ香ばしい町並み (@koubashimachi) June 18, 2025
木更津駅から少し歩いたところにある「みまち通り商店街」。
そこには、ドラマの冒頭で描かれた“ふとした再会”の空気感がそのまま残っています。
古びたアーケードの下、懐かしい八百屋や文房具店が並ぶ風景は、どこか映画のセットのようでありながら、紛れもない“生活の場”でもあります。
ここを歩いていると、きっとあなた自身も「誰かとすれ違った記憶」がふと心に浮かんでくるかもしれません。
木更津「純喫茶イニョン」ロケ地巡りモデルコース
せっかく木更津を訪れるのなら、1日かけてゆっくりと『純喫茶イニョン』の世界に浸ってみませんか?
以下に、実際に巡礼旅として楽しめるモデルスケジュールをご紹介します。
▶ 朝:木更津駅に到着 → 木旺舎本店でモーニング
JR内房線・木更津駅の東口から徒歩5分。
朝の少し冷えた空気の中、ログハウス風の外観が目に入った瞬間、ドラマの時間が静かに始まります。
店内では、人気の「塩キャラメルクレープ」や「手ごねプリン」、ネルドリップで淹れた珈琲を味わいながら、ゆったりと1話目を思い出してください。
空いている時間帯なら、赤い階段や2階席で写真を撮るのもおすすめです。
▶ 昼:カウンター席で余韻に浸る → みまち通り商店街へ
お店の混雑が落ち着く昼下がりは、シウのようにカウンターで一杯の珈琲を静かに味わう時間を。
耳を澄ませば、ドラマのBGMが聞こえてくるような錯覚すら覚えます。
その後は、木更津駅の方角へ戻りながら「みまち通り商店街」へ。
昭和の香りが残るアーケードを歩けば、ドラマの中の偶然が、今のあなた自身にもそっと訪れるかもしれません。
▶ 夕方:港町の夕景と共に、旅の余韻を閉じる
今日の #朝ラン
出張の木更津港を走ってきました🏃➡️海がきれいで気分も上がる🤩
ランニング最高😆 pic.twitter.com/lOJmNK7ppw
— イワヲ 10/26水戸黄門、11/23つくば (@hasunerun) April 22, 2025
時間に余裕があるなら、木更津港の方へ足を延ばしてみましょう。
海と空が溶け合う夕暮れどき、心の中の物語にそっと蓋をするように、静かに一日を終えてください。
『純喫茶イニョン』は、たった数話で終わるドラマかもしれません。
でも、こうして実際に“体験”してみると、その短さゆえの深さと、ふとした瞬間に沁みてくる台詞の重みを、改めて感じさせてくれます。
チャンソンが歩いた場所、彼が遺した温度
『純喫茶イニョン』の中心に立っていたのは、2PMのチャンソンさん演じるマスター・シウ。
決して多くを語らず、でもその佇まいだけで人の心に触れる──そんなキャラクター像は、チャンソンさん本人の持つ空気と深く重なっていました。
実際、木旺舎での撮影時には、チャンソンさんはスタッフや店主の方々にも気さくに接し、礼儀正しい姿が印象的だったとのこと。
「まるでシウが本当にこの喫茶店にいるようだった」と語るファンの声も多く、撮影期間中、木更津の町には“静かな魔法”がかかっていたようでした。
X(旧Twitter)では、巡礼を終えたファンのこんな声も見られました。
「ロケ地巡りして来ました。お店の方のお話ではチャンソンはとても気さくで良い方だったと。まるでシウがそこにいるような、素敵な縁。」
言葉は短くても、画面越しに伝わってきた“温度”は、訪れた人の心に、確かに残っているのです。
彼が歩いた場所、見つめた景色、手で触れたカウンター。
そこに身を置くことで、画面では伝えきれなかった“人のぬくもり”が、ふとした拍子に肌に伝わってくる。
『純喫茶イニョン』の魅力は、そんな“静かな感情の記憶”として、観る人、そして巡る人の心にそっと灯っていきます。
撮影時のマナーと注意点
聖地巡礼は、ドラマの世界に触れる特別な体験ですが、同時に“現実の生活空間”に足を踏み入れる行為でもあります。
ロケ地である木旺舎本店や周辺の商店街では、日々の営みが静かに続いています。
だからこそ、訪れる側として大切にしたいマナーがあります。
📷 撮影は節度を持って
店内での写真撮影は、他のお客様の迷惑にならない範囲で、また必ずお店の方にひと声をかけてから行いましょう。
特にカウンターや階段、2階席などは人気スポットですが、混雑時には譲り合いの気持ちを忘れずに。
⏰ 混雑時間帯を避ける
ランチタイム(12時〜14時)や休日の午後は混み合うことが多いため、平日午前〜正午前が比較的落ち着いて撮影しやすい時間帯です。
静かな店内でドラマの余韻をじっくり味わいたい方には、この時間帯の訪問がおすすめです。
🔕 店内では静かに
『純喫茶イニョン』の世界観は、“静けさ”の中にこそ存在します。
その空気を壊さないためにも、大きな声での会話や電話は控え、写真もフラッシュや連写は避けましょう。
🍽 飲食も巡礼の一部として
ロケ地を訪れた際には、単なる撮影目的だけでなく、実際にお店の味や空間を楽しむことも大切です。
ドラマの登場人物が味わったであろうコーヒーやスイーツを通して、物語の一部に自分自身が溶け込んでいく──そんな感覚が、巡礼の醍醐味でもあるのです。
おわりに|喫茶店で“縁”を味わうということ
『純喫茶イニョン』という物語は、決して派手な演出や感情の爆発に頼る作品ではありませんでした。
けれどその静かな時間の中にこそ、人と人との出会い、別れ、そして再会という「縁」のすべてが詰まっていました。
ロケ地となった木更津の喫茶店「木旺舎本店」は、その“縁”を私たちに追体験させてくれる場所です。
ドラマのシーンを辿るように階段をのぼり、カウンターに座り、コーヒーを口に運ぶ──その一連の所作のなかに、物語がそっと重なってくるのです。
人生の中で、ふと立ち止まってしまう瞬間。
誰かに会いたいと思ったとき。
あるいは、会えなかった誰かを思い出す夜に。
そんな時にこそ、『純喫茶イニョン』とそのロケ地は、もう一度「心の居場所」をくれるのかもしれません。
喫茶店とは、ただ珈琲を飲む場所ではなく、感情と記憶がそっと混ざり合う場所──。
ドラマをきっかけに、そんなことを思い出させてくれる場所が、この木更津の一角には静かに息づいています。
どうか、あなたの旅が“記憶の再生”となり、また新しい縁と巡り会えますように。
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