1975年に公開された名作『新幹線大爆破』が、現代版としてリブートされ話題を集めています。
本記事では、『新幹線大爆破』の犯人が誰なのか、そしてラストまでに張り巡らされた巧妙な伏線と、視聴者に衝撃を与える犯行の動機について詳しく解説します。
犯人の人物像や動機の背景を理解することで、この作品の真の魅力がより鮮明に見えてくるはずです。
- リブート版『新幹線大爆破』の犯人とその正体
- 犯人が爆破を企てた背景と動機の深層
- 伏線とラストに隠された心理ドラマの構造
『新幹線大爆破』の犯人は小野寺柚月と古賀勝
リブート版『新幹線大爆破』では、犯人像が大きく刷新され、現代的な動機と緻密な計画が話題となりました。
物語の中心にいるのは、意外な人物である小野寺柚月と、その共犯者・古賀勝です。
2人の過去と背景には、50年前の事件が深く関わっており、犯行には社会と個人の闇が浮き彫りになります。
修学旅行生として乗車していた小野寺柚月の正体
事件の発端は、修学旅行生として新幹線「はやぶさ60号」に乗車していた少女、小野寺柚月による犯行でした。
彼女は爆弾を仕掛けた張本人であり、物語の中盤でその正体が明らかになります。
その冷静さと計算された言動からは、単なる思いつきではない、綿密な計画性と強い動機が感じられました。
50年前の事件が生んだ共犯者・古賀勝との関係
小野寺と共に計画を実行したのが、古賀勝という男でした。
古賀の父親は、50年前の「ひかり109号事件」に関与したテロリストでした。
当時、警察に追われ命を落とした父を持つ古賀は、社会からの偏見と憎しみの中で育ちました。
同じく父親の過去に苦しんでいた小野寺とは、互いの境遇に共鳴し、計画を練るパートナーとして結びついたのです。
なぜ「新幹線」を狙ったのか?
狙われた新幹線「はやぶさ60号」は、柚月の父親が関わった過去の事件とも関連していました。
新幹線は彼女の父の“英雄神話”の象徴でもありました。
その象徴を壊すことで、虚構に包まれた過去を暴き、真実を明らかにしようとする意図が見えてきます。
また、高速かつ多数の人命を乗せた新幹線は、極限の緊張感とタイムリミットを演出するには最適な舞台でもあったのです。
犯行の動機は過去の事件と家庭環境への復讐
『新幹線大爆破』のリブート版では、単なる破壊行為ではなく、犯人たちの心の奥底に潜む復讐と贖罪の感情が丁寧に描かれています。
特に、家庭環境や過去の事件の影響が彼らの動機に深く関係しており、社会的なメッセージ性も感じさせます。
以下では、それぞれの動機を掘り下げて解説します。
柚月の父が抱える虚偽の英雄像とその影響
小野寺柚月の動機の根幹には、父親に対する深い憎しみと失望がありました。
彼女の父・小野寺正義は、50年前に起きた「ひかり109号事件」において、犯人を射殺し事件を収束させたとされる元警官です。
しかし、その「英雄譚」は実際には虚偽であり、真実を隠して自らの名誉を築いていたことが、後に柚月の手によって明らかになります。
さらに、父は家庭内では支配的で暴力的な態度を取り続け、柚月の精神を追い詰めていました。
そのため、彼女にとって新幹線を爆破の標的にすることは、父の象徴=虚飾の正義を破壊するための復讐劇でもあったのです。
古賀の父が遺したテロリストの影と警察への憎しみ
一方、共犯者である古賀勝は、まさに柚月とは「対になる動機」を持っていました。
古賀の父は、同じく「ひかり109号事件」でテロ行為に加担して命を落とした人物です。
彼は、真相が歪められたまま“悪の象徴”として語られ、家族も社会から排斥されました。
古賀はそのような偏見と差別の中で育ち、父の名誉を回復するために真実を明らかにしたいという強い想いを抱えていました。
警察と社会に対する憎悪を募らせた彼にとって、この犯行は“沈黙していた真実”を暴くためのメッセージだったのです。
2人の目的は破壊ではなく、「記憶の是正」
柚月と古賀の行動は一見過激ですが、その根底には「誰にも顧みられなかった過去の清算」という明確な意図があります。
単なるテロリズムではなく、“語られなかった真実に光を当てたい”という強い欲求が動機でした。
このことが、犯人を一概に悪とは言い切れない物語の奥行きと深みを生み出しているのです。
物語を支える巧妙な伏線の数々
『新幹線大爆破』のリブート版が高く評価されている理由の一つに、緻密に張り巡らされた伏線の巧妙さがあります。
何気ない会話や小道具の扱いにも意味が込められており、視聴者に驚きと納得を与える展開へとつながっています。
ここでは、特に印象的だった2つの伏線を中心に解説します。
心拍センサーに仕掛けられた爆弾システムの存在
本作最大の緊張感を生んだのは、小野寺柚月の体に埋め込まれた「心拍センサー連動型爆弾」の存在です。
彼女の心拍が停止した瞬間に、新幹線に仕掛けられた爆弾が爆発するという仕組みは、犯人を排除するという単純な選択肢を封じる装置として機能しました。
この仕掛けは物語中盤で明かされますが、実は序盤から何度か「鼓動」「息切れ」「鼓動計」などの伏線的なセリフが登場しています。
冷静に見直すと、この大どんでん返しは早い段階から計算されていたと気づかされます。
犯人特定への導線となる台詞と行動の積み重ね
小野寺柚月が犯人だと判明したとき、多くの視聴者が驚いたのではないでしょうか。
しかし彼女の行動には、序盤から幾つもの“違和感”が散りばめられていました。
- 修学旅行生にしては異常に冷静な態度
- 非常口や運行設備に関する質問の多さ
- 車内での不可解な単独行動
これらはすべて、彼女が犯人であるという事実に視聴者を導く“意図的なヒント”として機能していました。
また、古賀の登場タイミングや移動経路にも不自然な点が多く、彼が共犯者であることを示唆する伏線として作用していました。
再視聴で見えてくる「伏線回収」の快感
本作は一度目の視聴でも十分に楽しめますが、再視聴によって伏線の数々が繋がり、より深く作品を理解できる構造になっています。
視聴者にとっても、「あのセリフはこのためだったのか!」という発見が多く、サスペンス映画として非常に完成度が高いといえるでしょう。
こうした伏線の巧妙さが、本作をただの爆破映画ではなく、心理戦と構成美に優れた社会派サスペンスへと昇華させているのです。
ラストの展開と登場人物たちの選択
『新幹線大爆破』のクライマックスは、爆弾を止めるための極限の判断と、人間ドラマが交錯する感動的な場面に仕上がっています。
登場人物それぞれが、自分にできる最善を尽くし、新幹線と乗客の命を守るために決断を下していく姿が描かれます。
その結末は単なるカタルシスではなく、犯人の背景までも含めた“救済”としての意味合いを持っていました。
車掌・高市と運転士・松本の冷静な判断
乗客と車内の秩序を守り続けたのは、車掌の高市和也(草彅剛)と、運転士の松本千花(のん)です。
特に高市は、柚月が犯人だと判明しても冷静さを保ち、彼女に対して怒りをぶつけるのではなく、人として向き合おうとする姿勢を貫きました。
松本も、列車の停止によって爆弾が作動するリスクを理解しつつ、ギリギリの速度調整を行う冷静な操作で、車両を安全に導きました。
2人の判断と行動力がなければ、この物語は悲劇的な結末を迎えていた可能性が高いのです。
新幹線総合指令所の対応と爆弾解除の鍵
一方、地上側の対応を担ったのが、新幹線総合指令所にいる笠置雄一(斎藤工)でした。
彼は、爆弾の構造が心拍センサーと連動していることを知ったうえで、柚月の心拍数を安定させるための心理的なアプローチを提案します。
この視点は、単に技術的な解除ではなく、「人間の心」によって事件を解決しようとする象徴的な選択でもありました。
結果として、笠置たちの判断は奏功し、爆弾は解除され、乗客全員が無事に生還します。
柚月と古賀が迎えた“終わり方”
事件解決後、柚月と古賀は警察に逮捕されますが、その表情には恐れや憎しみではなく、どこか安堵のようなものが感じられました。
彼らは、誰にも理解されることのなかった過去に対して、自らの方法で「声」を上げたのです。
高市や笠置は彼らを厳しく罰するのではなく、それぞれの過去に寄り添おうとする姿勢を見せました。
こうした“赦し”のようなラストシーンが、本作に深い余韻を残しています。
新幹線大爆破の犯人と伏線・動機を総まとめ
ここまで『新幹線大爆破』のリブート版における犯人、動機、伏線、そしてラストの展開について解説してきました。
単なるサスペンスアクションではなく、人間の過去と向き合う心理ドラマとしての側面が強く印象に残る作品でした。
最後に、本作の核心となる要素を改めて整理してみましょう。
- 犯人は小野寺柚月と古賀勝。2人は50年前の「ひかり109号事件」の因縁を背負っていた。
- 動機は、父親たちの虚偽と悲劇に対する復讐と記憶の是正。
- 心拍センサー連動爆弾や不自然な言動など、巧妙な伏線が物語全体に配置されていた。
- 登場人物たちが下した決断が、悲劇を回避し、人間としての尊厳と希望を描き出した。
『新幹線大爆破』は、1975年のオリジナルを受け継ぎつつも、現代ならではのテーマとメッセージ性を込めた重厚なリメイクとなっています。
視聴後には、犯人を単なる悪として捉えるのではなく、なぜ彼らがそうするしかなかったのかを考えさせられる深い余韻が残ります。
まだ見ていない方は、ぜひ注意して伏線を追いながら鑑賞してみてください。
- 犯人は小野寺柚月と古賀勝の2人
- 動機は過去の事件と家庭の歪みに対する復讐
- 心拍センサー型爆弾の仕掛けが物語の鍵
- 伏線が全編に散りばめられた構成
- 車掌や運転士の判断が乗客の命を救う
- 爆破を通じて過去の“嘘”と“真実”を浮き彫りに
- 犯人を単なる悪として描かない人間ドラマ
- 再視聴で気づく伏線回収の快感
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