「エビアレルギーって、こんなに怖いのか――」
第8話を見終えた瞬間、そう思った人も少なくないはず。
『あなたを奪ったその日から』が描くのは、ただのミステリーじゃない。
“誰かのせい”では終わらない、家族と愛の“共犯性”の物語。
その中心にいたのは、梨々子と萌子。2人の少女たちだった。
誰がエビを混入させたのか?そして、なぜそんなことを?
第8話で明かされた“エビアレルギー殺人”事件の真犯人像を、伏線と心理から徹底考察する。
第8話のあらすじと“エビ混入事件”の衝撃
ついに語られた“事故”の真相とは?
あれは、本当に「事故」だったのか――。
第8話で明かされたのは、“エビアレルギーによる食中毒”という事件が、ただのミスでは終わらないという現実。
視聴者を震えさせたのは、その「混入」が“意図的なものかもしれない”という、あまりにも静かで残酷な疑念だった。
一枚のピザ、一口のアレルゲン。命を奪うには、それだけで十分だった。
「殺すつもりなんてなかった」では済まされない背景
この事件が重たいのは、「誰も殺意がなかった」と主張しても、命が失われたことが変わらないという点だ。
作中、旭の息子は亡くなり、その裏に「家族の誰か」が関与していた可能性が濃厚になっていく。
“家族だから信じたい”、でも“家族だから隠したい”。
そのジレンマの果てに、視聴者は“真実”と向き合わされる。
エビ混入は、ただのミスではない。物語はついに、その核心に触れはじめた。
梨々子=真犯人説の根拠|過去の伏線と行動から読み解く
第2話〜第8話に散らばる「違和感」の回収
第8話を見て、背筋が冷えた人も多いはず。
「まさか、梨々子が?」という疑念。いや、きっとどこかで、ずっと視聴者は気づいていた。
第2話、ピザの調理に関わった梨々子が“手を洗わなかった”描写。
第4話、何かを隠すような目線。
第6話、萌子をじっと見つめる不自然な沈黙。
あれは、伏線じゃない。無意識の“罪の匂い”だった。
なぜ梨々子は“家族”を壊そうとしたのか?
動機が明確に語られたわけではない。
でも、彼女が何かに怯え、何かに反抗し、そして何かにすがっていたのは、視線でわかる。
「母を奪われた」と思ったかもしれない。
「自分だけが犠牲者だ」と思ったかもしれない。
それが思春期の感情の暴走だったとしても、“混入”という行為は取り返しがつかない。
そして、彼女の中に「故意ではなかった」という逃げ道があったとしても、視聴者はもうそれを信じられなくなってしまった。
萌子(美海)に疑いがかかった理由と、その“潔白”の証明
調理担当だったはずの“萌子”の不在とその背景
第2話の時点で、調理を担当していたのは萌子(美海)だった。
それだけで、エビ混入の“実行犯”と疑われるには十分だった。
実際、視聴者の多くは「萌子がやったのでは?」という直感を持ったはずだ。
でも、そこには違和感があった。
彼女は事件当時、厨房から外されていた。
責任者から距離を置かれていた彼女が、単独で“仕込める”状況ではなかった可能性が高い。
なのに、なぜ疑われたのか。
なぜ彼女が容疑者になりえたのか?視聴者が惑わされたポイント
萌子が容疑者として疑われた理由には、もう一つ大きな要因がある。
それは、彼女が「血が繋がっていない娘」だったという事実。
紘海の養子として迎えられた萌子は、家族の中でどこか“異質な存在”として描かれていた。
視聴者の中には無意識のうちに、そこに「外部から来た者=不穏な存在」という印象を重ねてしまった人もいるだろう。
だが、彼女の目線、言葉、行動には一貫して「恐れ」と「悲しみ」しかなかった。
萌子は“容疑者に仕立てられた少女”だった。
“家族の罪”として描かれたメタファーと作品のテーマ性
「誰か1人の罪じゃない」──隠蔽の連鎖が生んだ悲劇
『あなたを奪ったその日から』が突きつけるのは、“家族という共同体の責任”だ。
エビ混入事件が“誰か1人の仕業”ではなく、誰もが少しずつ目をそらした結果だったとしたら。
家族だから守ろうとした。
家族だから信じたくなかった。
その連鎖が、最も傷つけたのは、当事者ではなく“守られるべき存在”だった。
視聴者が感じた“後味の悪さ”の正体
真犯人が明らかになっても、なぜこんなにも心がざわつくのか。
それはきっと、この物語が「わかりやすい悪者」を用意していないからだ。
梨々子も、萌子も、紘海も、旭も。
誰もが加害者で、誰もが被害者で、そして、誰もが“ただ家族であろうとしただけ”だった。
その“ただ”が、どれだけ脆く、残酷なものかを、この第8話は私たちに突きつけてきた。
まとめ|梨々子が背負ったもの、萌子が許されたもの
家族の中で、“一番幼かったのは誰か”という問い
梨々子は加害者かもしれない。
でもその奥にあるのは、愛されなかったという絶望であり、「壊せば気づいてくれるかもしれない」という幼い祈りだった。
萌子は被害者かもしれない。
でもその優しさと沈黙は、「母の愛を守りたい」という自己犠牲でもあった。
そして私たちは気づかされる。
本当の“子ども”は誰だったのか。
大人びた言葉や態度では測れない、感情の叫びの輪郭を。
第9話以降への伏線と、視聴者が見逃せないポイント
エビ混入事件の真相が見えた今、物語は「その後」を描こうとしている。
加害と被害の境界があいまいな中で、紘海たち家族はどこへ向かうのか。
そして、梨々子が“許される”日は来るのか。
その問いの答えを、私たちは来週またテレビの前で探すことになる。
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