「え、ガチの医者じゃん…」
YouTubeで流れてきた『罵倒村』の診療所シーンに、そんなコメントが相次いだ。芸人たちが“村の罰”として受けさせられる直腸診。その異様すぎる空気感のなか、冷静に手技をこなす女性医師の姿は、まるでドキュメンタリーのワンシーンのようだった。
あまりにリアルで、どこか狂気じみたあのシーン。視聴者の多くが「演技とは思えない」と感じたのも無理はない。
なぜなら——その“医者役”は、演技でもタレントでもなかったから。
実は彼女、本当に内科クリニックを開業している現役の医師だったのだ。
罵倒村の“病院シーン”が話題になった理由
過激でリアルすぎる「直腸診」シーン
『罵倒村』で最も視聴者を驚かせたのが、芸人たちが診療所で“直腸診”を受ける場面。そのシーンは笑えるどころか、一瞬「本当にやってる?」と戸惑うほどのリアリティがあった。
アンジャッシュ渡部さん、ザ・マミィ酒井さん、マキタスポーツさんなどが、戸惑いながらも順番に処置室に入っていく姿。そして静かに「リラックスしてください」と声をかける女医。その空気感は完全に“バラエティの域”を超えていた。
視聴者が「演技じゃない」と気づいた瞬間
このシーンがSNSで拡散されると、次第に注目されたのが女医の佇まいの“異質さ”だった。
「言葉遣いが本物の医者っぽい」「手技がやたら慣れてる」──そんなコメントが増え、次第に「これ、本物じゃない?」という声が強まる。誰が演じているのかを調べた人たちが“驚愕の事実”にたどり着く。
そう、彼女は“演じて”などいなかった。リアルな医師だったのだ。
実は“本物の医者”だった!演じていたのは近藤千種院長
名古屋・ちぐさ内科クリニック覚王山の現役院長
診療所の女医役として登場したのは、近藤千種(こんどう・ちぐさ)さん。名古屋市千種区で「ちぐさ内科クリニック覚王山」を開業している、れっきとした現役の内科医だ。
公式サイトでも『罵倒村』出演が報告されており、「NOBROCK TVの撮影で、実際の医師として出演・医療監修も担当した」と紹介されている。
つまり、彼女は“素人が出演した”のではなく、本職としてプロの視点で医療シーンのリアリティを支えていたのだ。
医療監修としても参加、その理由とは?
近藤院長は、罵倒村の制作チームから医療監修の依頼を受けたことが出演のきっかけだったという。
バラエティといえど、「直腸診」など医療的な行為を描くうえでは、倫理性や安全性への配慮が不可欠。そのリアリティを損なわず、かつ“笑えるライン”を探るために、プロの医師の協力が必要だった。
彼女の存在によって、視聴者は「これ、ほんとにやってる!?」と二度見してしまう。その“本気すぎる”違和感こそが、罵倒村の真骨頂だった。
“本物の医者”がバラエティに出るということ
医療とエンタメの“境界線”を越えて
これまで、医療の専門家がバラエティに登場することはほとんどなかった。特に現役の医師が“演者”として出演するケースは極めて稀だ。
しかし、『罵倒村』はその常識を軽やかに超えてきた。リアリティと違和感のあいだを突き刺す演出──それを実現するために、「医者を演じる俳優」ではなく「本物の医者」をキャスティングするという逆転の発想。
これが、バラエティにおける“フェイクでは作れない笑い”の可能性を見せてくれた。
今後のテレビは“本職キャスト”が主役になる?
今回のような“プロの素人”の起用は、今後のバラエティの在り方にも一石を投じた。
職業のリアルさや専門性が求められる時代。視聴者は「作られた演技」よりも「実在する人間のドラマ」に心を動かされる傾向が強まっている。
だからこそ、「本当にその世界で生きてきた人」が持つ空気感や言葉が、画面の向こうに届く。
『罵倒村』の診療所シーンは、まさにその象徴だった。
まとめ|『罵倒村』が見せた「本物」の破壊力
芸人が罵倒され、戸惑い、時に笑いをこらえる。そんな“普通のバラエティ”とは一線を画した『罵倒村』。
その中でも、診療所のシーンは一瞬で空気が変わる。静寂と緊張が支配するその空間で、唯一ブレない存在として立っていたのが、実在の医師・近藤千種さんだった。
彼女の登場がもたらしたのは、「リアルってこんなに怖いんだ」という感覚。本物の存在感が、フィクションを凌駕した瞬間だった。
バラエティ番組における“リアル”の力。『罵倒村』はそれを証明してみせた。
あの診療所シーンが、視聴者の記憶に残り続けるのはきっと、「笑ったあと、なぜかザワついた」からだ。
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