「なんで“かえる”が東京を救うの?」
「結局、みみずくんって何だったの?」
2025年に放送されたドラマ『地震のあとで』第4話「続・かえるくん、東京を救う」。
村上春樹の短編小説を下敷きにしたこの物語は、震災とファンタジー、そして人間の“記憶”と“孤独”を描いています。
SNSでは「意味不明」「難しい」という声が少なくありませんでした。
でも、その“わからなさ”こそが、まさにこの作品が伝えようとしていた「真意」なのです。
この記事では、4話のストーリーをネタバレを交えて振り返りながら、「なぜ、かえるくんは再び現れたのか?」「みみずくんとは何だったのか?」に迫っていきます。
見えないものと戦うということ。
忘れてしまうということ。
──その中にこそ、静かな希望があったのだと信じたい。
- 『地震のあとで』第4話の物語とその要点
- かえるくん・みみずくんの意味と役割の考察
- 「意味不明」と感じた視聴者への深層メッセージの解説
『地震のあとで』第4話のあらすじをネタバレ解説
かえるくんの再来──30年後の東京で何が起きた?
2025年、舞台は東京。漫画喫茶で暮らす元銀行員の片桐(佐藤浩市)は、ある日突然、巨大なかえるの姿をした“かえるくん”に出会います。
彼は言います。「30年前、僕たちは東京を救った。そして、また危機が迫っている」
30年前──つまり1995年、阪神・淡路大震災の年。かえるくんによると、当時も東京に地震の危機が迫っており、片桐と共に“みみずくん”という存在と戦ったというのです。
しかし、片桐にはその記憶が一切ありません。
それでもかえるくんは、「もう一度、あなたの力が必要なんだ」と語りかけます。かえるくんの“奇妙な頼み”は、現実と妄想の境界を曖昧にしながら、観る者を不思議な世界へと誘います。
“みみずくん”とは何か?
作中でかえるくんが語る「みみずくん」は、東京の地中深くに潜む存在。都市の歪みや怒り、不安を吸収して肥大化していく“災厄の象徴”です。
彼が暴れ出せば、東京に大地震が起こる──そう語られますが、それが本当に現実に起きているのか、それとも片桐の心の中の葛藤なのかは、最後まで明かされません。
この“曖昧さ”こそが、『地震のあとで』の醍醐味であり、視聴者に「これは何を象徴しているのか?」と問いかける仕掛けになっているのです。
“みみずくん”とは、災害そのものではなく、「私たちが見ないふりをしてきたもの」──心の奥底に沈んでいる“震え”かもしれません。
「意味不明」という声に込められた違和感の正体
幻想と現実のあいだに揺れる構造
『地震のあとで』第4話を観た多くの人が感じたのは、「これって何を描いてるの?」という戸惑いだったはず。
地震という現実的なテーマを扱いながら、かえるくんやみみずくんというファンタジーの要素が登場し、物語は常に“不確かさ”の中を進んでいきます。
でも、この“揺らぎ”こそが、震災の記憶や、それにまつわる心の動きを表しているのではないでしょうか。
現実に起きた災害の恐怖、そして「なかったことにしたい」と思う心──。
それらはまさに、かえるくんの存在や、片桐の記憶の曖昧さとして描かれているように感じます。
記憶の曖昧さが物語を曇らせる
片桐は、30年前に東京を救ったはずの記憶を持っていません。
その“忘却”は、災害が起きたあとに、個人の中で徐々に風化していく「震災の記憶」を象徴しています。
たとえば、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災──
あのとき確かに心を揺さぶった出来事さえも、10年、20年と時が経つにつれて、「自分ごと」として感じられなくなっていく。
『地震のあとで』が描いているのは、そんな“記憶の不確かさ”に対する静かな問いかけなのかもしれません。
かえるくんの「孤独な使命」に込められたメッセージ
誰にも知られず、誰かを救うということ
かえるくんは、人知れず東京を救おうとしています。
誰にも気づかれず、記憶にも残らない。それでも、彼は「やる価値がある」と言う。
これは、誰にも評価されなくても、見えないところで人のために動いているすべての人たちへの賛歌のように思えます。
たとえば、日々の介護、地道な支援活動、匿名のボランティア……。
「誰にもわかってもらえなくても、自分だけは信じている」──そんな強さを、かえるくんは静かに体現しているのです。
“不条理を受け入れる力”としてのファンタジー
かえるくんが語る世界は、あまりに突拍子がなく、論理では説明がつきません。
でも私たちの日常もまた、理屈では説明できない“なにか”で成り立っているのではないでしょうか。
大切な人を失うこと、自分だけが取り残されたように感じること。
そんな“割り切れなさ”を抱えながら、それでも生きていくために、時にはファンタジーが必要なのです。
かえるくんは、そうした“心の余白”の象徴なのかもしれません。
まとめ|“わからなさ”の中にある希望
『地震のあとで』第4話「続・かえるくん、東京を救う」は、震災というリアルな出来事と、かえるくんというファンタジーが交差する、不思議な物語でした。
「意味不明」「よくわからない」──そんな声が多かったのは、それだけ物語が一筋縄ではいかない“感情”や“記憶”を扱っていたからだと思います。
誰かの記憶から消えてしまっても、確かにそこに“在った”こと。
目には見えないけれど、誰かが必死に守っていたこと。
そうした“小さな真実”が、かえるくんという存在に託されていたのではないでしょうか。
この物語を観終えたあと、「なんだったんだろう」と少しでも引っかかっているなら──
それはきっと、あなたの心が“まだ忘れてはいけない何か”を感じ取った証です。
だからこそ、この作品は「わからないままでも、受け取れる」ドラマなのかもしれません。
- 『地震のあとで』第4話の詳細なあらすじ
- かえるくんの再登場の意味と背景
- みみずくんの象徴するものの正体
- 「意味不明」と感じる理由とその仕掛け
- 震災の記憶と風化のテーマ
- 誰にも知られずに戦う“孤独な使命”の意味
- ファンタジーを通した心の描写
- 視聴者に残る“違和感”の正体
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